面白法人カヤックの人事部に迫る!ユニークな採用企画が次々に生まれる秘密は「●●文化」にあった!

2012/04/05    カテゴリー: インタビュー



面白法人カヤックの新卒採用の裏側!

「スマイル給」「サイコロ給」「旅する支社」など、話題性と独創性のあるユニークな制度で知られる面白法人カヤック。採用活動においても、毎年独特の新たな取り組みを行い、メディアで取り上げられることも多い。

同社の採用活動を率いる、佐久間祐司氏、夏目和樹氏のお二方に、カヤックのアイデアあふれる採用活動の源泉やそのオペレーション、また今年話題をさらった「旅する会社説明会」の裏側などについてお話をうかがった。

節就が目指したものは「つくる時間」を生むこと

面白法人カヤック 節就宣言

今年のカヤックの新卒採用では、「節就宣言」というキーワードを掲げていましたが、この背景は?

佐久間氏:

カヤックは、企業理念に「つくる人を増やす」を掲げています。なので、新卒採用の場合、採用基準は「つくる人、ものづくりが好きな人」かどうかということになります。

面接でも「学校で作ったものはわかりました。趣味で作ったものはなんですか?」と聞くことがよくあるのですが、つまり、「どういうものを作っているのか?」が見たいと考えています。

ところが、現在の一般的な就職活動の仕組みでは、学生さんはみな忙しく、なかなかものづくりをしている時間がない。じゃあ、就職活動に費やす時間を節約し、ものを作る時間にあててもらおう、そういう発想から「節就宣言」というコンセプトが生まれました。

具体的には、「エントリーシートの使い回し」「ワンクリック採用」「旅する会社説明会」というキャンペーンに落とし込まれました。

 

「旅する会社説明会」は、メディアでも取り上げられるなど、かなり話題にもなりました。この企画はどのように生まれてきたんですか?

佐久間氏:

「節就宣言」は、エントリーシートの使い回し、ワンクリック採用、旅する会社説明会の3つで構成されていて、エントリーシートを節約するとどうなるか?を突き詰めていった結果、ワンクリック採用に至ったわけですが、会社説明会を行うということは決まっていたんです。

となると、次は会社説明会を節約するにはどうすればいいか?という考え方になっていきました。例えば、オンラインで説明会やるのか?あるいは会社説明会を1分で終わらせるとか、そういう話ですね。時間や場所など、いろいろな軸でどこを節約できるか考えた結果、こちらから出向いて、学生さんが来る時間を節約しようという軸になった。

会社説明会を節約って考えると、普通オンライン説明会って話になると思うのですが、カヤックの場合、去年、『日英中韓ウズベク語 5カ国語同時通訳オンライン説明会』という企画を実施済みだったので、面白法人と名乗っている以上、去年と同じことをやるわけにはいかない。

なので、今年はオンラインはやりませんでした。やはり採用活動であっても、世の中の人に楽しんでもらえるコンテンツを提供していかないといけないと思っています。

「ふざけているんですか?」バス会社探しも一苦労

旅する会社説明会

「旅する会社説明会」の準備の裏側について聞かせてもらえますか?

佐久間氏:

世界初の試みなので、実際それが可能なのかどうか?というところから始まり、あとは予算的にどのくらいになるものなのかを調査するところからのスタートでした。

最初は、トラックの荷台がパカっと開くステージカーが面白いんじゃないかという話だったんですが、季節も季節なので、開く瞬間は楽しくても、学生さんは寒いだろうとか、場所の問題もあって、いろいろ紆余曲折を経てラッピングバスの中での開催に落ち着きました。

夏目氏:

ルートについては、できるだけ全ての地域に行きたかったんですが、時間的制約や、学生さんが参加しやすい地域ということで選定しました。

渋滞や事故などで、バスの進行が遅れてしまったら、あとのスケジュールが全てずれて学生さんに迷惑をかけてしまうので、どういうコースにしたら一番リスクが少ないかのルート決めが大変でしたね。そういう意味で、万が一遅れが出た場合のオペレーションも予め決めていました。

あとは、バス会社さんの選定はかなり苦労したところで、バス会社さんに電話すると「え?そもそもそれ、本当にやるんですか?ふざけてるんですか?それやりたかったら半年前とか3ヶ月前に言ってもらわないと無理ですよ」といったリアクションがほとんどで、かなり断られたんです。いくつかある中で1社さんだけ「それ面白いね!1週間でも2週間でもやりますよ!」って乗ってきてくれたんですが、その会社に出会えるまでが大変でした(笑)。

制約の多いバスの中、その中で学生が見たものとは

旅する会社説明会

世界初のラッピングバスの中での会社説明会、どんなふうに実施したんでしょう?

佐久間氏:

バスには採用担当2名と、あとは開催場所によって代表の柳澤や私などスケジュールが合う人間が乗り合わせました。参加人数が多いときは、前でバスガイドみたいに話すわけですが、少ない時はバスの後ろを 「コ」の字型にして座談会っぽくやるなど、人数に応じて臨機応変に対応しました。紙の資料も1枚は配りましたが、あんまりそれを見ていると、みなさん酔っちゃうんですよね。ホワイトボードやプロジェクタなどもスペース的に難しいので、これも割りきってなしにしました。

実際やってみて改めて感じたことは、結局、学生さんが見たいのは、スライドの説明ではなく、例えば、柳澤と社員が話すときや、社員同士が話しているときの雰囲気から感じ取る、会社そのままの雰囲気であって、そこから感じ取る情報量が多いのだということですね。

例えば、バスの中で会社説明会をやると、想定外のアクシデントが常に発生するので、その対処についての話なども、常に学生さんに公然と聞こえるところで話すことになります。これが意外と実際の社員同士の空気・雰囲気を伝えるのに一役買っていたと思います。いわゆる普通の説明会や、コントロールされた座談会では、見せようと思ってもなかなか見せにくい、口だけではない、会社の風通しの良さとか上下関係がないフラットさが、自然にでたということですね。

 

「旅する会社説明会」をどのように総括していますか?

佐久間氏:

実際の採用成果はという意味では、まだ選考が途中なので、はっきり言えませんが、自分たちが面白いと思ってやった企画に対して、それを面白いと思って来てくれる学生さんということで、やはり自分たちと近い価値観を持っているなと思います。

夏目氏:

地方の学生さんから、「説明会に参加したかったが、どうしても授業などで説明会や選考に行けなかった。わざわざ地方で説明会を開催してくれる会社さんは少ないので、すごくうれしい」と、キラキラした目で言われたときは、嬉しかったですね。やってよかったという達成感がありました。

社内的な話でいうと、カヤックは、「予算はこれくらいだから、そのアイデアはできない」ではなく、「そのアイデアが、本当に学生さんのためにも、カヤックのためにもなって、そして世の中的にも面白いことだったら、絶対やろうよ!」という雰囲気なんですね。

実際、この企画は求められていた予算をオーバーしましたが、予算内で面白くないものをやるよりも、代表の柳澤も含め、「予算オーバーしても面白いことがやったほうがいいよね!」という空気が、カヤックの強みだと改めて思いましたし、楽しかったですね。

奇抜なアイデアを形にしていくステップ

面白法人カヤック 社内風景

採用担当としては、どうやってこういったオリジナリティのある企画が社内から生まれてくるか気になるところだと思いますが、カヤックの場合はどうしてそれが実現できているんでしょう?

佐久間氏:

いつも頭をひねって、四苦八苦しながら考えていますよ。今年度も、企画の締め切りを自分たちで決めては何度も破りを繰り返していました。何か面白いことをやらなければいけないというプレッシャーは常に感じながらやっています。毎年なにか新しい面白い取り組みをするのが当たり前という文化になっていますね。

ただ、カヤックの場合、社内にブレスト文化があるので、採用担当だけでなく、人事以外の部署でも「こういう説明会があったら面白いね」といったような議論と協力をしてもらえる風土があります。もちろん、人事から「今年の採用はどんな企画をやったら良いと思いますか?」という働きかけはするのですが、メンバーの多くが、自分たちと一緒に働くメンバーを採用するための活動という位置づけをして、当事者意識をもって参加してくれます。

企画のブレストで、アイデアを出していった時に、タネみたいなものが生まれて、あとあとよく考えて広げていくと成立するっていうタイプのものと、バシッと「それでいけるね!」という感覚が得られるものの2つのタイプがありますが、例えば、「エントリーシートの使い回し」や「ワンクリック採用」などの企画は、後者でしたね。2012年新卒採用企画でやっている卒制採用も、ブレストから生まれてきたものです。

あと、カヤックの場合は、Webコンテンツでの採用キャンペーンをよく実施するのですが、全社一丸とまではいかないまでも、必然的にある程度の経験豊富な制作陣がしっかりリソースをとって協力してくれるので、「こういう感じでお願いします」とお願いすれば、それなりのクオリティのものを作ってくれることも強みですね。

カヤックでクリエイティブをやっているメンバーは、普段から言われたものを言われたとおりに作るという仕事の仕方をしていないので、人事がお願いしている仕様についても、「いやいや何言ってるの。もっとこういうふうにしたほうが面白いでしょ」とフィードバックをくれる。

大きなコンセプトは人事が作りますが、その先の実際のクリエイティブでは、デザイナーやエンジニアから「もっとこうしたほうが良い」ということを言ってもらえる風土が、インパクトのあるキャンペーンにつながっていると思います。

 
ブレスト文化

全社的な採用への協力体制がうまく機能している理由はどこにあるんでしょう?

佐久間氏:

ブレストが楽しいという感覚が全社に共有してあるのが大きいですね。みな、ブレストのお題をもらっても、それで絶対何かを決めなくてはいけないわけではないので、気軽に返せばよい程度なんです。

最終的に面白い企画になるかどうかの責任は問われないので、お題を振られるのが嫌じゃない。お題を出す方も、みんなネタがあれば楽しめるでしょ?ぐらいの気持ちです。

採用においても、「採用は一緒に働くのは社員の皆さんですよ。社員の皆さんがどんな人を採ったらうまくいくかを考えてくださいね」ということになるんですね。

理想の人材よりも、想像を超えた人材が欲しい

サイコロ給

カヤックが採用において大切にしている価値観はどういったものになりますか?

佐久間氏:

カヤックは、ユニークであろうということをずっとしてきていて、例えば、「求める人物像」みたいなものはあえて言わないようにしています。

それでは今後一緒に働くかもしれない人を、現在の我々が想像しうる範囲に限定することになってしまう。それは面白くないと思っているところがどこかにあるんですね。自分たちが想像しえないような人たちと仕事ができたら楽しいだろうという感覚があります。

採用ホームページだけで、なくコーポレートサイト全体を通じて、

 「我々はこんな人で、我々はこんなものをつくっています」
 「あなたは一緒に作りたいと思いますか?」

というメッセージを出せればと考えています。

 「鎌倉に本社があるということを、あなたはいいと思いますか?」
 「サイコロ振ってお給料を決めるという価値観をあなたは受け入れられますか?」
 「そういう価値観の社員たちと仲良くなれそうですか?」

これをとにかく問いかけるということなんですね。あの採用ホームページを見て、この人たちと働いていくのは無理だなと思う学生さんがたくさんいてもおかしくない、と思っています。

カヤックはWebの会社ですが、極端な話これまで全然Webと関わりがなかった人でも、「自分だったらこんなことが一緒にできますよ」という可能性を考えられる人と働きたいと思っています。

スマイル給

「作ることが好きな人」を突き詰めていった先にたまたまあった、ソーシャルメディア

カヤックの採用において、ソーシャルメディアの位置づけはどのようなものでしょう?

佐久間氏:

「エントリーシートの使い回し」「ワンクリック採用」などのキャンペーンでは、ソーシャルメディアのアカウント情報を活用することで、学生さんの手間を節約しようという試みをやってみたわけですが、ソーシャルメディアだけで合否を判断することはありえません。

エントリーシートでわざわざ書くというよりは、いままで取り組んできたことの蓄積であるデータのほうが、わかることが多いのではないかぐらいに考えています。そういう意味では、ソーシャルメディアを中心においた議論はしていません。

採用したい人はこういう人で、だとしたらどうすればいいか?という順番で考えています。つくることが好きな人を採用したいとしたらどうするの?となったときに、じゃあ、つくることが好きで、一生懸命やってる人なら、例えばgithubのアカウントくらい持ってるんじゃない?という順番になります。

ソーシャルメディアの採用への活用は、今そういう流れだからやろうとか、話題になるからやろうということではなく、そこよりももう少し深い部分、つまり学生さんのためになったり、ちゃんと本質としてあっているかどうかが大切だと思っています。

取材を終えて

面白法人カヤック

カヤックの採用といえば、独創性と話題性のある企画やキャンペーンに目が行きがちで、奇を衒ったような捉え方をされることもあるのではないかと思うが、実は、愚直なまでに正攻法を貫いているのだということに気付く。

自分たちは何を目指していて、どんな人で、どんなことをやっていて、どんな人と一緒に働きたいのか?そこがしっかり明確に定義されていて、では、最適な採用アプローチはどういったものになるか?それは学生のためになるか?という順序で設計されていることが見えてくる。

そして、その本質的な部分を一切の妥協なしにとことん追求し、深く思考しているところにカヤックの強さを感じることができる。そこには、「今これが流行っているから」とか「他者はこうやっているから」といった視点は一切ない。

そして、その本質的な議論がなされる風土として、ブレスト文化が非常に有効に機能していて、かつ、その結果を具現化するためのクリエイティブ力が存在している。採用設計の部分だけ見ると、極めて当たり前のことをしているように見えるが、実はここをどこまで深く考えて実行できるか?というところがもっとも難しいのではないだろうか。

また、ソーシャルメディアを活用した採用キャンペーンが話題になったにも関わらず、ソーシャルメディアの活用ありきではなく、採用目的を達成するための手段の1つとしてしかソーシャルメディアを位置づけていない点も印象深かった。

佐久間氏、夏目氏の言葉の端々に、採用の本質とはなにか?を改めて考える、貴重なヒントがたくさん潜んでいる。

佐久間 祐司氏 株式会社カヤック
ギブ&ギ部(管理系)
佐久間 祐司 氏
http://www.kayac.com/team/sakuma-yuji
   
夏目 和樹氏 株式会社カヤック
ギブ&ギ部(管理系)
夏目 和樹 氏
http://www.kayac.com/team/natsume-kazuki
Forkwell
▼ブログの更新情報はコチラから
facebook
twitter
RSS

関連記事

■ライター

Main Writer
株式会社grooves
池見 幸浩
Yukihiro Ikemi

■Social Link

facebook
「いいね!」お待ちしています!
twitter
「follow」お待ちしています!
RSS
RSS登録お待ちしています!
Google+ページ
Google+ページ作成しました!