500kmの旅。シリコンバレーで「ソーシャルリクルーティング」を考える。
「アジアは、10を100にする場所。」
「0から1を創るなら、シリコンバレー。」
2012年1月、三泊四日の短いスケジュールでしたが、garbsとしてシリコンバレーを視察しました。
今回はいつもと趣向を変えてシリコンバレーとソーシャルリクルーティングを通じた「職」に関して感じたことをまとめてみたいと思います。

夜中のパロアルトのガレージを前に
今まで累計30ヵ国以上、数百の数えきれない都市を旅してきましたが、今回初めて訪問するシリコンバレーは10年以上IT・情報通信業界で働いてきた者としては、やはり特別な場所でした。
より大きな地図で Silicon Valley を表示
http://g.co/maps/ttgg2
急遽決定した渡航のため、限られた時間で効率よく訪問するために必須だったのが国際免許証。
ガイドブックを忘れても不便はまったくありませんでしたが、4日間で500km以上の旅となった今回の視察に、もし国際免許証がなかったら本当に何もできなかったと思います。
成田を出発しサンフランシスコについたのが16時半。その後、レンタカーを借りて高速に乗り、やってきたのがシリコンバレー発祥の地と言われるパロアルト地区です。
限られた時間で、まず始めに訪問すべきと決めていたのが 「HP Garage」です。
到着した時には辺りは真っ暗の20時を過ぎ、驚くほど閑静な住宅街のど真ん中にそのガレージはありました。
「ちょっと想像してみてください。静かなパロアルトの夜、アディソン街を散歩して、ふと立ち止まりガレージに目を向けると、夜遅くまで次の新製品の設計に没頭する、二人の若者の姿が思い浮かぶでしょう。」
via http://h50146.www5.hp.com/info/feature/coverstory/05garage.html
当社も2名で創業し、マンションの一室から少しずつ成長してきたので、その場所で感じたのは、『何時の時代でも、今までにない、新しい付加価値を生み出すには、膨大な時間と熱意が必要』ということでした。
「HP Garage」は改めてこのことを実感できる貴重な場所でした。もし、行かれる際は、夜をお勧めします。
なぜシリコンバレーなのか
2011年5月、インターネットスタートアップ企業としてgarbsは、北アジア代表10社のひとつに選出され、「Echelon2011予選」に参加しました。
プレゼンテーション大会には「○○のアジア版」というサービスが乱立し、昔でいう「タイムマシン経営」というモデルが主流で、まだまだ国産発のサービスとしてもチャレンジできるという点で非常に可能性を感じていました。
そんな中、世界を代表するインターネット企業に努める友人に冒頭の言葉を言われたのです。
「0から1を創るなら、シリコンバレー。」
当社もすでにアジアを主とした19ヵ国にサービスを展開しており、今後もアジア展開を重点的に考えています。
しかし、同時に「業界初」という言葉に常にこだわりをもって、自ら考え失敗を繰り返してやってきた会社の志向性を考えると、世界的にもまだまだ発展途上中であるソーシャルリクルーティングという領域でサービスを展開するためには、まずは「0から1を創る」風土や仕組み、そして厳しさがそろっているシリコンバレーを体験するべきと感じました。
結果的に、シリコンバレー視察はビジネス的には大成功でしたが、『ソーシャルリクルーティングを通じてアメリカの「職」を体験』する上でも本当に貴重な時間でした。
そこで、下記に最も印象に残ったことを3つにまとめてみました。
1.「リファーラル」という信頼の重要性
リファーラルとは、「信頼できる人からの紹介、推薦」という意味ですが、アメリカでは、日本以上に求職時はもちろん、ビジネスにおいてもリファーラルが重要であるということを再確認しました。
リファーラルの詳細は以下を参照してください。
▼人と人のつながりを活用する!
ひとづて採用「リファーラルリクルーティング」とは?
http://www.social-recruiting.jp/archives/7830
今回のたった4日間の中でも信頼できる人からの紹介があると通常では考えられない方とも出会うことができ、非常に話しもスムーズに進むことを実感しました。
また、アメリカでの転職時には、ほとんどの場合「あなたを推薦する(できる)人からの推薦状(リファレンス)」の提出を求められます。
この推薦状は、企業が人を判断する上で非常に重要となり有効です。
求職者にとっても日々の言動や実績、メンバーからの信頼を勝ち取っている人にとっては「リファーラル」は非常に有効な武器になります。
”朝出社すると、いきなりの解雇処分” ということは、アメリカでは当然のようにあります。こうした厳しい環境の中で企業にとってこのリファレンスが、退職者を円滑に次のステップに導くための重要なツールにもなっているということでした。
日本でも実名登録SNSがより深く浸透し、採用領域のソーシャルシフトが確実に起こる中、この推薦状や前職への電話確認という「レファレンスチェック」が選考行程の中に取り入れられることは、ほぼ間違いない流れだと実感しました。
一方で、今回アポ無しで訪問したシリコンバレーのベンチャーキャピタルで、急遽の訪問にも係らずかなりの時間を好感をもって対応してくれたこともありました。
この経験で、リファーラルを凌駕するチャレンジへの寛容さも実感しました。
2.お酒なしで、朝まで100%ビジネスできる環境
これは、車無しではどこにもいけない(=飲酒運転できない)というシリコンバレー特有の環境が背景の一つです。
そうしてもう一つの背景が、世界中からビジネス、特にインターネットビジネスがどんな趣味より、遊びより「大好き」という人が集まっていることです。こういう鼻息粗い移民が50%以上の企業を設立しているこのエリアでは、お酒も接待も、ましてやゴルフも、まったく必要ない雰囲気があり非常に心地よかったです。
もちろん人次第ですし、18時にはパロアルトですら帰宅ラッシュの大渋滞ですが、何時であろうともメールの返信がすぐくることを考えると、口先だけでない文字通り「仕事中毒」の人には素晴らしい環境であることを改めて実感しました。
3.日本の就業に対する考えのすばらしさと今後の可能性
この10年、国内では不景気のたびに、「アメリカ式」ワークスタイルが推奨され、転職を推奨する雰囲気が強くなることを繰り返してきました。
企業にとっても、正社員という固定費を業務委託という変動費にするメリット、解雇に対する法律の緩和などは、一定の成果がでるという意見もあるかもしれません。
ただ、名著「フリーエージェントの到来」が、10年も前に書かれた古い書籍であることや、同じく名著である「クリエイティブ資本論」のデータにもあるとおり、アメリカではフリーランスが決して増えていないこと、IT企業にも過度な転職回数を嫌がる企業がたくさんあることやアメリカの失業率が日本の約2倍となる約9%である事実にあまり触れられていないことに、常に疑問も感じていました。
そして今回の旅で改めて以下を実感しました。
国内が不景気のときに言われる『アメリカ式!○○』の多くは、「シリコンバレー」や「ウォールストリート」など局地的な地域でのみ通用するワークスタイルで、そこで働く人たちは結構な人数が出稼ぎや移民。
つまり、かなり特殊。
シリコンバレーの中心地であるパロアルトは、本当に治安もよく素晴らしい街でした。
私見ではありますが、ダウンタウンやスタンフォードショッピングセンターは夜に1人で歩いてショッピングしていても身の危険を感じることは一切ありませんでした。
ただ、パロアルトから車で20分も走ると商店街には、英語以外があふれ始め、落書き、鉄格子のある窓が目立ち始めます。
個人的なイメージで言うと「シリコンバレーは、日本でいう新宿二丁目、歌舞伎町ほど特殊な場所」で、歌舞伎町が新宿全体や東京、ましてや日本全体を表していないにも係らず、時に職やワークスタイルに関しては「歌舞伎町=日本」のように「シリコンバレー=アメリカ全体」と崇拝してしまう傾向があることを実感しました。
もちろん、その「特殊」な条件に身をおきたい、おくべき人にとっては、シリコンバレーやウォール街は素晴らしい修練の場となりえると思います。
また、集客活動においてシンボリックに特殊なワークスタイルをアピールすることで危機感を募り、集客するなども手段の一つかもしれません。
ただ、国内のワークスタイルにも、やはり日本独自で培ってきた次のようなすばらしい点も多々あるとも改めて感じました。
・助け合い、共存を目指す文化
・人と人のつながりによる信頼
・全体の調和を大切にする文化
・世界に誇るサービス精神
・業務外でも勤勉な取り組み
しかし、これらは個人でみてみると謙虚さゆえに可視化されにくい個性や能力であったり、自己アピールしづらく履歴書では見えにくい部分でもあります。
この春にリリースを予定している新しいソーシャルリクルーティングサービスに関しては、こうした日本人の特性を何かしらの形でソーシャルリクルーティングで価値として生み出せるのではと考えています。
まとめ:ソーシャルリクルーティングの可能性を改めて実感
人材ビジネスは、この50年で最も可能性と重責をもった局面を迎えていると日々感じます。当然のことのように起こりうるグローバル化や、すでに確定している人口減少という流れは、様々な課題を想像もできないほどのスピードで国内の就業者に影響を与え始めます。
そんな中、「採用領域のソーシャル化」を後押しするソーシャルリクルーティングには、大きな可能性があることを改めて実感したシリコンバレーへの旅となりました。
Reported by Yukihiro Ikemi

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