メンバーズの採用担当者に聞いた!実体験に基づく「採用向けソーシャルメディア」運用ノウハウ

2011/12/21    カテゴリー: インタビュー



メンバーズ

数多くの有名企業のソーシャルメディアマーケティング支援を行い、実績をあげている株式会社メンバーズ。Webインテグレーション業界で、いち早くソーシャルメディアマーケティング事業に参入した同社は、自社の採用活動においても、Twitterを2010年6月から、Facebookを2011年1月から活用している。

同社のソーシャルリクルーティングを一手に担っている人事グループの江口奈々子氏に、採用活動向けのソーシャルメディア運営の実務の実際についてお話をうかがった。

新卒と中途を分けずに運用する理由

メンバーズでは、採用向けソーシャルメディアは実際どのように運用されているのだろうか?

江口氏:

いまのところ、「株式会社メンバーズ Social Recruiting Team」というFacebookページと、株式会社メンバーズ人事採用チームの公式ツイッター「@Members_hr」の2つを使って、採用関連情報を発信しています。

メンバーズとしては、新卒採用、中途採用という区切りはしていません。「メンバーズと一緒にチャレンジして欲しい人」にむけて一つのメッセージを発信していきたいと考えているので、Facebook、ツイッターともに新卒、中途でアカウントを分けずに運用しています。

公式ツイッターは2010年の6月から、Facebookページは2011年の1月から本格運用を開始しました。

株式会社メンバーズ

メンバーズには会社としてのFacebookページもあるのですが、企業に興味がある人と、採用情報に興味がある人は、欲しい情報内容が違うという想定で、採用向けのFacebookページは、会社Facebookページから独立させています。

株式会社メンバーズ

自社の採用サイトとFacebookを連動させることで、ユーザーの導線を広げたり、応募の受け皿を広げたり(どちらから応募があってもいいようにしている)、ライトな情報はFacebookで、より具体的な情報は採用サイトに載せるといったような方法を試みています。

ツイッターの活用方法も同様で、採用チームの公式ツイッターは、メンバーズの公式ツイッターから独立して運営し、フォローユーザーに不必要と感じられない程度に採用チームのツイートをメンバーズの公式ツイッターでリツイートするといった運用をしています。

当初は、週に1~2回のペースで求人情報を発信する計画でスタートしたのですが、直接的な求人情報というのは、あまり閲覧者からの反応がよくなく、結果的にエンゲージメントが下がってしまうということがわかったので、現在はおもに社内情報の発信をするようにしています。

まずはスタート、でもガイドラインは整備

採用向けソーシャルメディアの立ち上げ、運用開始にあたって、体制やルールなどはどのように整備したのだろうか?

江口氏:

当社がお客様のソーシャルメディアマーケティングをお手伝いする際には、事前に細かい要件定義を決定してから運用を開始するのですが、この採用向けのソーシャルメディア運営に関しては、ベストな方法が分からない状態だったので、明確な方針などは定めることに時間をかけるよりも、「まずはやってみよう」というスタンスで気軽にスタートしました。

ただ、運用ルールに関しては、新たなソーシャルメディアの運用を開始する場合は、ガイドラインを定めなければならないという社内の規則があるので、事前にガイドラインを定めました。といっても、炎上したときに誰が、いつまでに、どう対応するか?などを定めた最低限のもので、それほど難しいものではありません。ただ、これまで一度もおかしな書き込みがあったことはないので、実際にはそれほど不安を感じる必要はないと思います。

運用体制は、当社の場合は、Facebookもツイッターも私一人で行なっています。週2~3回の投稿ですから、それほど労力もかかっていません。

運用してわかった「受けるネタ」「受けないネタ」

継続的に投稿するのは、材料がないときなどは大変ではないのだろうか?

江口氏:

メンバーズがサービスとして行っている、Facebookセミナーなどの情報をシェアしても、あまり反応が大きくなく、頻繁にシェアをし続けると、ファンとのエンゲージメントが下がることが傾向として表れたので、採用や人材というテーマに絞った情報発信を軸と定めて、社内のメンバーの顔を出したいり、会社として人材育成等をテーマとした取組みを出していくことにしています。

例えば当社でいえば、「社長塾」という、社長と有志の社員が集まって行なっている勉強会があるのですが、その情報を投稿したときは、毎回エンゲージメントがよいですね。

メンバーズインタビュー

なにかしら情報を投稿するたびに、インサイトで反応がよかったか、悪かったかは検証するようにしています。

採用チームツイッターのほうは、実はあまり反応がよくなく、拡散もバズもあまりしていないので、それに比べると当社の場合はFacebookのほうが反応はよいですね。

運用を行っていて、確かに材料がなくて困るときもあります。そのときは、自分で作り出しています(笑)。社長に頼んで動画を撮らせてもらったり、オフィスで社員に声をかけて「出させてね」ってお願いしたり。

メンバーズインタビュー

当社の場合、ソーシャルメディアメーケティングを自社の事業として行なっていますので、社長をはじめ社員も基本的に協力的なスタンスなのでとても助かっています。加えて、作り込みすぎていないそういった雰囲気も伝わればいいなと思っていますね。

募集広告よりも社内の雰囲気を伝えられる

採用向けにソーシャルメディアを運営した結果、どんなメリット、デメリットを感じているのだろうか?

江口氏:

まずメリットから言いますと、選考で面接に来る方が、「見ました!」と言ってくれることが多いですね。入社した方の中にも、事前にソーシャルメディア上で、社内の取り組みや制度的なことを見ておもしろいと思ったという人も実際にいます。

当社の場合、コーポレートサイトを見てすごくお固いイメージを持たれることがあります。でも、ソーシャルメディアで発信する情報を見て、「若い人が多くて楽しそう」とか、入社したばかりの方が、3回連続で月次表彰を受賞したのを見て、「チャレンジできそう」と思ってもらえたのはとてもよかったと考えています。

やはり、採用広告や、採用ホームページ上などでは出し切れない情報を、どんどん出せて、事前に見てもらえるということにはメリットを感じています。

また、採用向けのソーシャルメディアの運営は、社内の社員に対しても、会社がどんな取り組みをしているかを改めて認知させる目的も兼ねることができると考えています。当社の場合、全社員がFacebookアカウントを取得しているため、採用向けの投稿を目に留めやすく、社員にとって共感できるものであれば情報を拡散されますし、メンバーズの社員のロイヤリティも高められたりと、違った効果も期待していますね。

メンバーズインタビュー

デメリットですが、基本的に大きなデメリットを感じたことはありません。ただ、新卒学生の中には「いいね!」を押さないと選考に通らないのではないかと誤解している人や、逆に選考に入った後だからFacebookをいいね!しなくても問題ないだろう、という考えから、わざわざいいね!をしない、という声もあり、私たち企業が考えているソーシャルメディア上の情報収集の仕方に疑問を感じることもありました。

人事担当者も、学生のアカウントをチェックしているよといったような論調もありましたから、学生も神経質になっていたのかもしれません。

また、社長自らの採用Facebookページのファンに向けたメッセージ動画を見て、ワンマン経営のように感じたという感想を頂いたこともあり、もっと若いリーダー層を出していくべきだなと情報量や内容の修正をしていくなどの試行錯誤をしながら進めています。

学生のアカウントは合否に影響する?

ソーシャルメディア経由で応募してくる人材は実際どういう人材なのだろうか?特徴はあるのだろうか?

江口氏:

私の場合は、まず必ず応募者本人のFacebookやツイッターアカウントを持っているかどうかのチェックするようにしています。メンバーズ自体がソーシャルメディアマーケティングでNo.1になる!と標榜し、説明会などがある場合にはその内容をかなり強く押し出していますから、興味関心が全くないという方でないかどうかの確認程度です。

実際に本人のアカウントをチェックして、内容を詳細に確認して、これはまずいと思ったようなこともないですね。ただ、中には、「プライベートと企業向けはアカウントを分けています」と言ってしまうような学生もいて、実名インターネット時代においてその使い方はちょっと違うなと思っています。

他の経路で来る人材と比べると、ソーシャルメディア経由の応募者は、当社がどんな事業をやっているか?何に特化しているかなどの情報はしっかり理解して応募してくれます。

社員だけでなくパートナーも採用

江口氏:

当社では、新たなプロダクトを30個リリースするという「F30(プロジェクト・エフサーティー)」という取り組みを行なっています。この取り組みでは、プロジェクト毎に社員でなくパートナーとして他社の方も参加できるような形での採用を行っているのですが、こちらの採用で、ソーシャルリクルーティングとの相性の良さを実感しています。

プロジェクトベースにしているところが肝だと思いますが、社員となると、対象が「いま仕事を探している方」になるわけですが、こういったプロジェクトベースでの採用の場合は「いま活躍している面白い人、スキルのある人」も対象に入ってくるので、リクルーティングも範囲が広がる点が、大きな違いといえると思います。

F30 (プロジェクト エフ・サーティ)

数年でソーシャルリクルーティングが当たり前の時代に

日本企業のソーシャルリクルーティングは今後どうなっていくと予想しているのだろうか?

江口氏:

日本のFacebookユーザーもかなりの勢いで増えていますよね。企業は常にユーザーのいるところに行きますから、遅くとも2~3年のうちには企業は普通にソーシャルメディアを採用に活用されるのではないでしょうか。

ただ、大手企業が現在の新卒採用スケジュールで動いている間は、旧来の新卒採用手法も続くと考えています。ただ、いま「新卒」という言葉の定義も変わりつつありますし、今後、卒業してから海外に留学する学生も増えるでしょうから、そういった層へのアピールの場としてソーシャルメディアは使いやすいと思います。いずれにせよ、ユーザー数の伸びが主要因であることは間違いないと思います。

新卒採用も中途採用も、日本におけるソーシャルメディアのうまい活用の方法はいまだ見えづらいと感じています。結局のところ、Facebookが採用ナビ化していて、情報を一方的に発信するだけの場になっていて、なかなかコミュニケーションする場になっていないんですね。

たしかに実名で書き込みすると、名前も出てしまいますから、求職者側にもやりづらさはあると思います。「いいね!」を押してくれている方にメッセージを送ったり、コメントを返したりしても、実際のコミュニケーションがなかなか続きません。いずれにせよ、全体としてインタラクティブにコミュニケーションできる環境になっていないのが難しいところですね。

ただ、本場のアメリカでは、ソーシャルリクルーティングは中途採用中心に当たり前に行われていますから、日本においてもそのようになるはずと考え、引き続き取り組んでいきたいと考えています。

人事担当者にマーケティングスキルが求められる時代

ソーシャルリクルーティングが一般化していった場合、人事担当、求職者はどのように変わっていかなければならないのだろう?

江口氏:

よく言われていることですが、人事採用担当もますますマーケティングを意識して仕事をしなければならないと思います。

ソーシャルメディア上で、学生や求職者にアピールしていくには、どのような情報が求められているのか?どういう情報が反応がよいのか?といったことへの高い意識が必要です。長々したメッセージは敬遠されますから、伝えなければならないメッセージをいかに短く、長くても3行以内で伝えるか?そういった意識の積み重ねが、例えば会社説明資料などにも反映されていくわけですから、とても重要です。

伝えなければならないことと、ユーザーの反応がよいコンテンツは別ということもありますが、それも両立しなければいけません。

例えば、伝えるべき内容は「ノート」などにしっかり書いてあるが、それを投稿するときの言葉は短く反応が得られそうなものにするなどの工夫が必要です。

また、ソーシャルメディアの運営では、常にユーザーがコミュニケーションを取りやすい場にしておくこともとても大切ですね。

メンバーズインタビュー

学生や求職者の方の会社を見る軸が変わる時期にいよいよ入っていると思います。ソーシャルメディアを通じて、その会社の生の姿、情報をこれまでよりも格段に得やすくなっているわけですから、ホームページの会社概要を見ればわかるような情報で会社を見るのではなく、本当にその会社が自分に合いそうなのかどうか?をしっかり見定めてほしいと思います。

インタビューを終えて

会社としてソーシャルメディアマーケティング支援事業を行なっているメンバーズ。いち早く採用活動でもソーシャルメディアを活用してきただけあって、すでに実体験に基づくノウハウが積み上がっていることを実感した。

だが、この会社がソーシャルリクルーティングで成果を出しつつある要因はそれだけでない。

採用担当自身のフットワークの軽さ、また、社長をはじめ社員全員が、この取組に協力的であること、また、ソーシャルリクルーティングという新たな手法にフィットした柔軟な採用制度設計を行なっていることである。

採用担当目線での採用ソーシャルメディア運用の実務の実際は、これからソーシャルメディア活用にチャレンジする採用担当の皆さんにとても参考になる点が多かったのではないだろうか。

株式会社メンバーズ
人事グループ 江口奈々子氏
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