残業時間、離職者数..企業の内情がよりオープンに?飛躍する「企業の口コミ&採用サービス」【まとめ】

アメリカでは、従業員や離職者によって書かれる「企業クチコミサイト」関連サービスが人気になっており、転職活動において広く利用されています。
中でも、2008年にスタートしたGlassdoorは、世界的な企業・求人のクチコミサイトとして最も知名度あるサービスです。Glassdoorは、すでに大手VCのBenchmark Capital等から4150万ドル(日本円で約41億円)の資金を調達しています。
また、「Salary.com」は、ズバリ「給料」そのものを軸に様々な情報と求人を提供するサイトで、Kanexaに8000万ドル(日本円で80億円)で買収されました。
(※そのKanexaはIBMが2012年8月に買収。
[参考]アメリカでは市場規模60億ドル!2013年は「ソーシャルタレントマネジメント」幕開けの時代となるのか?)
こうした動向からもわかるように、世界的には企業や求人に特化したクチコミサイトというジャンルはとても活発になっています。この波は日本にも押し寄せてきています。
今回は、「企業情報や求人情報に特化したクチコミサイト」に関する国内外のサービスをまとめます。
Glassdoor
http://www.glassdoor.com/index.htm
2008年にリリースされ、現在では世界190カ国以上の22万社の企業の評価(5段階によるレイティング)とクチコミ情報がCGMとしてユーザーから投稿されている、仕事とキャリアに特化したコミュニテイです。クチコミの内容は、業務内容に限らず、給料から面接で聞かれる質問、オフィス写真、福利厚生、しいては社長の支持率(!)まで様々な情報が寄せられています。
また現在ではFacebookのソーシャルグラフを活用して自分に最適な求人情報をみつけたり、友達経由で紹介依頼ができたりと、求職者向けの最新のソーシャルリクルーティングサービスも随時アップデートされており、ソーシャルグラフとクチコミ、レイティングを連動した求人レコメンデーションサービスとして進化しています。
すでに国内の外資や国内を代表するIT企業に関するクチコミも相応数投稿されており、外国人採用時に人事担当は一読する価値があるレベルに達しています。
Salary.com
1999年設立で、HR×IT領域では老舗に入る求人サービスで、「給料や報酬」に特化した様々なデータから投稿記事と求人情報を連携しています。
現在のウェブサイトでは積極的にテクノロジーを活用した求人サービスへの移行等の気配は感じられませんが、2010年10月にはソーシャルタレントマネジメント大手のKanexaに8000万ドル(日本円で約80億円)で買収されました。またそのkanexaも大手CRM企業による一連のソーシャルタレントマネジメント戦争によって、2012年8月に13億ドル(日本円で1300億円)で買収されているので、現在Salary.comはIBMグループの参加に入っています。(→参考)
転職会議
東証一部上場のリブセンスが2010年7月にリリースした転職クチコミサービスで、すでにクチコミ情報掲載数は225万件、会員数も75万人、月間利用者数も350万人規模となっています。「転職会議」から同社の本業である求人サービスや他の大手求人情報サービスへの誘導をはかることで、収益も機能し始めています。
今後は同社主サービスとの更なる連携やGlassdoorのようにソーシャルグラフを活用した機能が付与されることでまだまだ成長する可能性を感じるサービスです。
[参考]2013年12月期 第3四半期決算 (11/13発表)決算説明会資料
キャリコネ
独立系の株式会社グローバルウェイが運営する437,964社の登録企業数と月間700万PV、会員数30万人を有する社員クチコミサービスで、求人サイト機能と有料職業紹介サービスの連携を強化する独自性あるサービスです。リーマンショック後順調に売上も拡大しています。
[参考]グローバルウェイ財務情報
VORKERS
株式会社ヴォーカーズが運営する「社員による会社評価」に特化したサービスで、クチコミ数43.9万件、月間700万PVを突破しています。シンプルながら見やすく使いやすい独自性あるUIです。同社は、まだ従業員は数名ですが現在積極採用中で、サービスの新規登録数も激増中で、今後の飛躍に期待できるサービスです。
[参考] ヴォーカーズ新規登録者の推移(四半期)・登録者の内訳
[まとめ] 求人、HR業界でもオープン化が加速する
世界的には、すでに普及している従業員による企業のクチコミサービスですが、国内でも有力なサービスが出始め、認知されるようになってきました。こうしたサービスを求職活動中に活用することが一般的となれば、企業の内情はよりオープンになっていきます。
ウェブサイトや会社説明会、面談時の安易な嘘やごまかしはすぐに内情を知る従業員に公開されることになり、企業の顔とも言える人事のリリースに対する重責はより一層強いものになるでしょう。
また、2013年11月11日にヤフーが開始した「キュリア」は無料で求人を掲載できる転職サイトですが、掲載にあたっては「離職者数」や「残業手当」「女性の活躍度合い」「勤続年数」など、これまで企業が自らすすんで公にしたがらなかった情報を公開することが条件になっています。こうした求職者にとって本当に価値ある情報の公開を条件にしたことは、これからの求人業界のオープン化にますます拍車をかけるでしょう。
この「オープン化」のトレンドは決して後戻りできないインターネットのトレンドとしてのみならず、HR業界にも訪れ始め、2014年はより一層の「企業情報、雇用状況、労働環境のオープン化」が求められる時代になるでしょう。
Image: digitalart / FreeDigitalPhotos.net

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